遊歩道の両脇には草木が生い茂り、向こうには土手、反対側には時折流れる水が見える。
鳥が羽ばたき、虫は草花を行き交う。
風が吹けば草木は揺れ、空に漂う雲もまた風に吹かれるまま流れている。
周りには誰もいない。
自然の中を目的もなく、邪魔されることもなくただ歩くと、自分もこの地球の一部なんやと感じる。宇宙の一部なんやと思える。
すべてただそこにあるだけ。
歩いてる途中、「もっと素直に生きていい」と言われた気がした。
もっと感情を表に出して生きていいと。
そうなのだ。
結局、人目を気にしてる。
嫌われることを恐れている。
批判から逃げようとしている。
誰も何も思っていないのに、勝手にそう思われてる気がして、怯えている。
そして、怯えている自分に怒っていた。
さっきから突然、イライラして仕方なかった。
なぜイライラしてたのかが分からなかった。
挑戦に向けて行動してるのに、イライラする理由が分からなかった。
自分のせいなのか?それとも誰かのせいか?と色々考えたけど、どれも違ったから、余計に困惑していた。
結局、自分のせいではあるんだけれど、心の中の隅っこの方で怯えていたボク自身に腹が立っていたのだ。
新しく仕事を始めることの怖さはあるけど、ボクが怯えていたのは、仕事を始める怖さじゃない。
これは、精神的なストレスに対する不安だ。
自分の弱さへの不安だ。
かつて、仕事のストレスで適応障害になったから、そこに敏感になっているだけだ。
始まってもいないことに対して不安を感じる必要はない。
ストレスを感じないペースでやればいい。
今の自分の歩幅以上に大きく進む必要はない。
新しい仕事を始めようと動いてること自体が進歩だ。まずは、そんな自分を褒めてあげないと。他に褒めてくれる人はいない。
ここからまた一歩ずつ。
アテのなかった遊歩道でボクはそんなことを考えていた。
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