「お食事を“ロボット”がお持ちすることがございますので、その際はご注意ください」
「え?ロボットですか?」
思わず聞き返してしまった。いや、耳を疑ったが正しい。
中国でそんなレストランがあるとは聞いていたけれど、よもや日本もAIが人の仕事を奪い始める時代が来てしまっていたのかと。
ただ、初体験なので内心ワクワクドキドキしながら待っていたら、他の席や隣の席にロボットが運ぶ運ぶ。
すげぇの一言。
感嘆とはまさにこのことだ。
まぁ、それでもすぐに慣れたことにも驚く。
淡々とそれだけをこなすロボットに対しては、こちらも何の感情も抱かないってことだ。コミュニケーションがなければ、それは電車や自販機と変わらないってことなのだろう。
ただ、そう思った時に、これは裏を返せば、人間はロボットに対して「道具」以外の感情を基本的には持たないってことだ。
だから、もし彼らが通りすがりに発砲するようにインプットされていたとしても、僕たちは道具が通り過ぎる感覚でしかないまま、射殺されるんだろう。
動くAIを初めて見て、僕はその素晴らしさと同時に恐怖を覚えた。
どことなくファンタジーの世界だと思っていたけど、これはもう現実なんやなぁと感じると、感情のないものってのが如何に怖いのかってことをきちんと認識できて良かった。
これはつまり、(今のところ)「感情」が人間を人たらしめていると思たからだ。
あの頃の未来が体験できる時代になって来ていることは素晴らしいけれど、だからこそ僕たちは人間らしさをもっとよく知り、その素晴らしさにこそ目を向けるべきなんじゃないだろうか。
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