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虹の空に込めた想い

止まない雨はない。

使い古された言葉だけれど、人生における様々な困難を雨に例えて使われる分かりやすい言葉だ。

雨に打たれてずぶ濡れになって、ただただ閉ざされていく世界。

そんな日があった。

あの日以上に精神が、こころがボロボロだと感じたことはない。

立ち向かう勇気も、立ち上がる気力も、そこに留まることさえできずに、僕は逃げ出した。

シンドかった。

あの日までシンドさを隠して生きてきたから、本当にシンドかった。

アテもなく歩き出す一歩一歩は、明日へ繋がってはいなかった。

あの頃の僕は、虹の空を探せなかった。

止まない雨はないなんて思うことすら出来なかった。

だけど、あれから一年半が経とうとする頃、僕は虹を見つけた。

雨上がりの空にかかる美しい虹を見つけた。

遠くの空でかかる虹を見て、僕は思った。

虹を見たい。もっと、近くで虹を見たい。

その日から虹の空は僕の希望になった。

こころのなかに虹がかかることがあるのだとしたら、こころの中の雨が止むのだとしたら、僕はそこまでの道のりを自分の手で描きたいと思った。自分の足でそこまで辿り着きたいと思ったのだ。

弱いままではいられない。

逃げてばかりじゃいられない。

虹の空を自分の手で描くためには、描けるだけの自分でないといけない。

あの日見つけた虹を信じて、僕は一年間、虹を描けるだけの自分になろうとしてきた。

あの日虹を見つけたことは、たまたまだったのかも知れないけれど、虹を描くために辿ってきたこの道はたまたまではなく、僕の意志だ。

僕は自分の意志で、虹を描きたいと思った。

空に虹を描くなら、雨が降っていてはダメだ。晴れ渡っていてもダメだ。

雨が上がったそのひと時にしか虹は描けない。

だからこそ、虹のかかる空は美しく胸を打つんだと思う。

かつて土砂降りとか嵐とか、そんな空模様だった僕のこころは、一年前に見つけた虹のお陰で、少しずつ雨が止み、雲の切れ間から一縷の光が差し込み、僕はなんとか虹を描けるまでになった。

そして、明日から描く虹は雨上がりじゃなくても描けるんじゃないかと思う。

女神ちゃんと2人なら、どんな空にでも虹は描けるし、虹の空を見ながら、どこまでも、いつまでも笑って行ける。

僕はあの日見つけた虹を死ぬまで大切にする。

僕が虹を描けると信じてくれてありがとう。

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