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半生③

小学校に入ると、幼稚園の友だちとは別れたけれど、同じ幼稚園のやつは2人ほどいた。

1人はクラスも一緒になったので、入学当初は仲良くしてた記憶がある。少しずつ友だちが増えるなかで、一緒に遊ぶことは減っていったけど。

2年の頃だったか、仲の良い何人かで友だちKの家に遊びに行こうって話になったとき、Kが冗談で「お前はあかん」と僕に言った。

それからしばらく何かしら会話を楽しんでたと思うけれど、僕は冗談でもハブられたことがショックで、時間差で涙が出て泣き出した。

周りにいた友だちも驚いて、「どうした?」「何があった?」「誰や泣かしたやつ」とか言ってたけど、お前や!とは言えなかったし、本心から拒否したわけでないことも気付いていたんだと思う。たぶん、放課後には彼の家に行ったし。

どうもこの頃から、僕には怒るって感情はなかったんだろう。でも、兄弟喧嘩はしてだろうから、内弁慶ってことなのかも知れない。

小学生の頃の思い出というのは断片的だけど、こうして書いてみるとまだいくつかある。

社会の授業で歴史を学んでた時、「○○工事」を行ったという問題があったんだけど、その時に誰かが「やすいこうじ!」と面白半分に答えた。

クラスは笑いに包まれた。

それがなんとも恥ずかしかった。まさか自分の名前を出されるとは思わなかったし、笑われるのは心外だったわけで。

そんな事しか覚えてないってのも悲しい話だ。

ただ、2年生くらいから絵を描くことが楽しいと思うようになった。絵と言っても、イラストだ。

薄い紙をアニメの下敷きなどの上に置き、下敷きのイラストをなぞりながら書いていく。そんなことを繰り返してて、四年生くらいからマンガを描くようになった。

楽しかった。

自分の頭の中で考える物語を拙い絵でも表現できることに夢中になった。

この趣味は高校三年生まで九年近く続くんだけど、どこだかの時点で父親から言われた。

「そんなもんで飯は食えへん」

いや、まぁ、そうなんだよ。それはそうなんだけど、右も左も分からない子どもに夢を見させる暇も与えないような言葉を平気で言う神経はいまだに理解はできない。

これは、ギターに関してもそうなんだけど、その話はまた中学生の段で書くことにする。

ところで、5年生になってから何を思ったのかは分からないけれど、中学受験をしたいと思うようになった。

心当たりとしては、地元の中学校の柄が悪いことが嫌だったんだろう。

それを親に伝えたのがいつだったかは覚えてないが、塾に入ったのが5年生の冬季講習で、その時に母は講師から「こんな時期から入っても受かるところはないですよ」と言われたらしい。

それでも僕がやりたいと言ったので、なんとか入塾できた。

そこから、6年生になって僕は明らかに変わっていた。

何が変わったのかと言うと、学校の授業が簡単に思え始めたことで、自信が付いたのだ。

それまでも成績は三段階評価でほとんどよくできるだったんだけど、それとは関係なしに、先生の言う言葉を理解できるようになったことが大きかったんだと思う。

まぁ、あれだ。こどもチャレンジのマンガみたいな、まさにあんな感じ。

あぁ、そういえば五年生か六年生の頃、一度キレたことがあったのを思い出した。

僕と特に仲の良かった二人がいたんだけど、その内の一人は本当にスネ夫みたいな奴で、普段は仲良し三人組みなのに、たまに誰かを標的にしてバカにしてた。その陣頭をしてたのがスネ夫だ。

そのことが頭に来た僕は、ある日そいつに飛び蹴りをしてしまった。さすがにスネ夫もビックリしてすぐに謝って、宥めて来たけど、同時に僕自身も自分に驚いた記憶がある。

人は怒るとこんなことになるのかと。

とは言え、彼とも変わらず仲は良かったし、毎日のようにスネ夫の家にはたくさんの友だちが遊びに行ってた。

なぜなら、彼の家には当時の小学生たちの憧れの的だった、スーパーファミコン付きテレビがあったからだ。

でも、その頃の僕らはゲームもほどほどに、外で遊ぶことが多かった。

学校でも休憩時間にはみんなでサッカーしたり、ドッチボールしたり、僕は漫画を描くこともあったけど、とにかくよく遊んでた。

僕は分け隔てなく、クラスの誰とでも遊んでたし、目立つ方ではなかったけど、みんなと仲良かったと思う。

そんな中、僕は受験をし、多くの友だちとは別の道を歩むことになる。

ただ、偶然にも同じクラスから三人も同じ中学に行くことになったり、仲良かった別のクラスの奴もいて、結局四人はその後も中高と付き合うことになる。

ちなみに、スネ夫も受験組だった。

仲良し三人組みの内、二人は同じ中学で、スネ夫は落ちてしまった。後から聞いた話だと、彼は泣いていたらしい。そりゃそうだろう。

二次試験も受けたかったそうだけど、既に受かっていた別の中学を選んだ。きっと、入学金の関係だ。

学校のこの辺りのやり方は闇を感じる。

小学生の頃の僕は、当初はなんてことなく過ごしていたけれど、高学年になってからはイキイキしていたと思う。

だけど、中学に入ってからはそうじゃなくなった。

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