父方、母方共に祖父母は徳之島の出身。と言っても、皆若かりし頃に島から出てはいるんだけど。
僕自身は15年ぶりとなる。
紡がれて来たもの
徳之島は小さな島、しかもその一町内に縁があるだけだから、うちの親戚関係は数は多いけど狭い。
父方の祖母と母方の祖父がいとこという関係で、その祖父母が共通となり、その方のお墓が徳之島にある。
僕からすれば曾々祖父だ。
徳之島子宝空港に降り立つと、鹿児島とは明らかに違う気候。鹿児島県というより、沖縄県の方がしっくり来る。実際、奄美大島などは沖縄からの方が近いし。
本州で言えば春だ。
レンタカーの窓を開ければ、少し冷たいけれど心地よい風を感じるし、日差しは強い。見渡す空はとても広く、生い茂る樹々の緑も深い。
少し走れば海岸から水平線を見渡せるし、今夏世界自然遺産に登録されただけあって、自然が豊富過ぎるくらいだ。
空港から車で30分もかからず、徳之島のある町に着いた。僕のルーツ。この小さな町から祖父母は旅立ち、それから数十年の時を経て、今孫である僕と婚約者の女神ちゃんとでそこに立つ。
墓地が分からず、郵便局で道を尋ね、車を少し走らせた先で車窓から墓地を見つけたので、駐車場に車を止め、曾々祖父の墓石を探す。
実は、15年前にも母に付き添ってお参りをしたけれど、いざ墓地へ来たら探せど探せど見つからず。
結局、近所の方に尋ねたら、うちの遠縁の方に連絡をくださり、その方に案内してもらえて、やっと見つけることができた。
墓跡自体はとても古いものだけど、威風を感じさせるカタチで御影石で作られた一般的な墓石とは明らかに違う立派なモノだった。
決して豪華ではない。ただ、立派な方だったんだろうなと感じさせる。そんなお墓。
今こうして、先祖に感謝しながらお墓参りをするようになったので、ここに来れていることも感慨深い。
女神ちゃんが行こうと言ってくれなければ、さすがに徳之島までは足を運べなかっただろうし、沖縄と比べたら近いけど遠い。
感謝に感謝を重ねながら、ここまでやってきた。
遠縁の方に案内されて、町内の色々を観て回った。
何人もの傑物を輩出しているらしく、皆さん故郷に錦を飾っているんだそうだ。
祖父母の思い出でしか知ることのなかった土地だったけど、こうして足を運べば、ここから紡がれた物語の端っこに今の自分がいるんだなと、改めて僕が誰なのかを思い知らされる。
過去に感謝。今に感謝。明日に感謝だ。
思わぬ贈り物
目的を果たしてから、空港付近へと戻り、今宵のホテル、サンセットリゾートへ着いた。
ここは母のいとこが経営するホテル。
15年前にもお世話になったので、一応社長に挨拶しようと思ったが、タイミングが合わずこの日はお会いできなかったんだけど、、、
夕飯を食べに外へ出ることをスタッフさんに告げたら「ご飯を用意するように社長から言われているから」と思わず晩御飯をご馳走になることになった。
お酒を飲みながら、ありがたやとか話してたら、目の前に運ばれて来たのがこの定食。
え?伊勢海老!?
なにやら、やたら豪華な定食である。
黒豚のスペアリブのようなものも驚くほど柔らかくて美味しいし、伊勢海老なんてウニのソースかかっちゃってるし、やたらコリコリした貝のバター炒めなんかも出してもらえて、、、感謝に頭が下がった。
こんな心遣いは嬉しすぎる。
でも、この優しさは島人の伝統な気もする。懐かしさを感じるほどの優しさ。
僕の血にもこの優しさがしっかりと根付いているだろうか。
そんなことまで考えさせられる、そんなルーツの旅となった。
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