何を言っているのか意味が分からないって方も多いだろう。
タイトルも同様に思われるかも知れないが、勘の良い方は「確かに!」と思われるかも知れない。
基本的に商売というのは「商品」(またはサービス)を「お客さま」に売るものだと、考えがちだが、それが違うって話だ。
古くは2010〜何年だかその辺りに僕は耳にしたことだけど、実は商売で売っているのは、モノや技術ではなくて、その向こう側にあるもので、お客さまもそれを買っている。
これはとても大切なことだし、改めて聞いたところで「そんなん当たり前やん」としか思わない方もいるかも知れないけれど、そこで気付ければ、商売が一歩前進する。
もちろん、タイトルはパン屋だけど、中身は商売全般に関わることだ。
少し角度は変わるけれど、例えば、昔の国鉄、今のJRは、自分たちは移動手段を売っていると思っていたと言われている。それはある意味そうなんだけど、実はそれだけではない。
だけど、気付いた時にはもう遅かった。
世の中はトラックが流通を網羅してしまい、鉄道が流通を独占することはできなくなっていた。
伝わっているだろうか?
国鉄が人と同時に物も運ぶ商売を最初からしていれば、日本の流通業界はその勢力図が変わっていた可能性があるということだ。
つまり、その分だけ利益を逃していたということ。
これは、自分たちの商売の可能性を小さく考えているという点で、つまり視野が狭いという点で、今回の話ともリンクしている。
では、本題に入る。
パン屋になろうと思った人は、美味しいパンを作るために努力する。
もちろん、美味しいパンであれば売れる可能性は高まるだろうけど、果たして商売はそれだけで上手くいくとも限らない。
コンビニやスーパーにが近くにあれば、それらを凌駕して人を集めなくてはならないし、競合がいれば、そこよりも自分たちを選んでもらえる工夫をしなくてはならないしと、とにかく美味しいから売れる訳じゃない。
美味しいパンを突き詰めることは大切だけど、問題は味とか品質とは別にある。
ひとつは売り方だ。つまり、どれだけの人に知ってもらえるか?そして、反応してもらえるか?さらには、戻って来てもらえるか?
だけど、今回の話はそれよりもう一つ前の話。
パン屋がいつまでもパンを売っていると思ってはいけない。
ちなみに、
くどいようだが、これはパン屋だけの話ではない。
さて、パン屋がパンを売っていると思ってはいけないとはどういうことだろうか?
先ほどの国鉄の話同様に、視野を広げて見なければいけない。
だからといって、何もパン以外のラインナップを拡充しろって話ではない。
冒頭に書いていたように、お客さまが買っているのは、何か?を知らなければならないってことだ。
「パンを買いに来てるんだから、パンが買いたくて、パンを買ってるんだろう?」ではない。
もちろん、パンが食べたいと思うから来ているのだろうけれど、お客さまが求めているのは、つまり自分の欲求を満たしてくれるものだ。
それは、パンが食べたい。美味しいパンが食べたい。お腹を満たせるパンが食べたい。というものかも知れないし、新しいパンを探しているのかも知れない。
と言うことはだ、お客さまはパンを通じて、何かしらの喜びや幸せを感じたいと思っていると言える。
これはとても簡単な例えとして言っているだけなので、実際にはもっと具体的なこともあるだろう。なにせ僕はパン屋ではない。
言いたいことは、人は感情でモノを買い、理屈でそれを正当化するってことだから、パン屋が売っているものも「感情を満たすもの」ってことであり、それは「体験」と言われることもある。
つまり、お客さまが飼っているものとは、商品そのものではないし、単なる欲求でもないってことだ。
大抵の場合、先ほど言ったように、幸せとか喜びとかってことに繋がっているんだけれど、それらをもっと具体化させることができれば、そして、それを言語化させることができれば、自分たちが何を売っているのか?をしっかりと理解することができる。
通販番組が大抵の場合、困っていることから始まるのは、そういうことだ。
通販番組や通販のCMを見れば、コレを使えば、あなたの悩みはこんな風に喜びに繋がりますよ〜って物語風にして売っているとは思わないだろうか?
お客さまの感情の動きを追っているのだ。
パンならパンを買いたい人の、経理なら経理に困っている人の、マーケティングなら広告に困っている人の、それぞれの負から始まる感情を正の感情へと変える何かをカタチにして売っているに過ぎない。
そこにあるものは何なのか?
それを理解しなければ、どれだけ美味しいパンを作れても、マーケティングは成功しないってことになる。
さて、あなたが売っているものは、本当はなんだろうか?
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